去年の夏ごろから、スーパーで肉と卵を買わない生活をしている。といっても、外食で肉料理を避けることはないし、調味料の成分に動物由来のものがあるか確認したりまではしていない。また、魚介類や乳製品は食べる。ベジタリアンの分類としては、pescetarian(魚介類はOK)とsemi-vegitarian(完全にではなく、菜食の割合を可能な限り増やす)のミックスのような食習慣だと思う。*1

 

 もともと大学の講義で動物倫理を学んだこともあり、肉食を減らすことには関心があった。ただ、実践しようとすると難しい。大学のころに一度、同じ研究室の友人と講義後の昼食でトライしてみたが、大丈夫だろうと思って買った冷やしそばのつゆが鰹だしだったので失敗に終わったこともある。特に、講義の中ではベジタリアニズムへの批判とその応答を繰り返し厳密に検討するので、もしベジタリアンを実践するならば、理論に沿って厳密に、あらゆる批判に耐える形でやらないと言行不一致になるような気がして居心地が悪い。こういった理屈面に加え、行動面でも障害はたくさんあった。学生時代は実家暮らしだったので、自分で好きに食事を選ぶことが少ない。外食で肉料理を避けることは難しく、ベジタリアンフードは往々にして高いので大学生の財布には厳しい。

 

 働き始め、一人暮らしになってからはこうした障害は解消されてきた。会社の同僚や友人との外食以外では、自由に食べるものを選ぶことができる。自炊も苦ではなく、むしろ楽しんでできるほうだ。それでも食習慣を変えなかったのは、理屈面でやはり居心地が悪いように感じていたからだが、去年くらいからは徐々にその感覚も無くなってきた。それは理論的な厳密さがどうでもよくなってきたということではなく、強い目的がなくとも何かを始められるようになってきたからだ。今実践してみている食習慣も、動物や環境への配慮でもなく、健康になりたいわけでもなく、ただやってみたらどうなるかを知りたいだけでやっている。考えすぎて行動できなくなることが多い自分にとっては、いい変化だと思う。

 

 肉と卵の無い食事は、はじめは若干の物足りなさはあったものの、今はそんなに気にならない。大抵のものは肉がなくとも作れるもので、メニュー名と「野菜」で検索すると誰かしらが肉なしのレシピを書いてくれている。なくてはいけないものはそんなに多くないのかもしれない。*2

*1:https://ivu.org/index.php/definitions

*2:ただ、ここからさらに魚介類を食べないとなるとかなり難しい。いまはソイミートも安価に種類豊富になっているが、あくまで肉の代わりであり魚の代わりにはならない。今の時点から先に進むには、それこそ強い目的意識が必要になるように思う。